手取り12万でこの仕事できますかというお話し。

彼女、会社やめるってよ

同僚が一人、3月末で退職するよと課長から聞かされたんです。
正直驚きはしなくて、むしろ「でしょうね」ぐらいの気持ち。
とにかくまぁまぁ低収入なんですよね。

その同僚はいわゆる、私と同じ非正規雇用の人で、そして私より10歳ぐらい若い。
そして昨年秋ぐらいから一人暮らしを始めた。
いわゆるアラフォー間近のおひとり様なのです。


うちの会社は東証一部上場なんだけど(プライムにも残ることになった)非正規が従業員の半数を占めているんです。
そしてそれだけ非正規がいるので、すなわち大企業病というか、それぞれが薄給なのです。
人数多すぎて決まった予算で割り振ったら少なくなっちゃったってやつ。
それってめちゃめちゃ頑張ってる人にはやりきれないですよね。

俗にいう「割に合わない」ってやつです。

手取り12万でわたしと同じ仕事やりますか?

ここで、突然ですが、私の収入公開。
朝9時30分からの8時間勤務、勤続8年で月額基本給16万円です。額面です。
ここから各種保険やらなんやら引かれて残業がなければ手取りは12万。
もう一度言いますよ

残業がなければ手取りは12万です。


勤続8年ですよ。支店長賞も何度ももらうぐらい貢献してるんですよ。それでも手取りは12万。

わたしと同じ仕事を課長も同じ手取りでやれと言われればやりますか?
と言ってやりたくなります。

そして前述の彼女は去る決意をしたんですね。
そりゃそうですよね。それでは一人暮らしでやっていけないですから。

一人暮らしをしたいと言っていた彼女。
ここの給料がもう少し上がってくれないとできないな
って言ってたんですよね、少し前に。
というか、彼女が入社してきて少ししてから。

ここでは給料はしょせん、頭打ちだよ
なんて言えませんでした。辞めてもらったら困るし、良い子だし、でも良い子だからこそ転職を決意したことに拍手を送りたい。

わたしも何度も考えていました。
アラフィフで高卒で、特にスキルもなくて、手取り12万で、人生100年時代、老後2,000万必要などと言われているのに私はこの先どう生きていくのだろう。
しかもわが子は今から大学生になろうとしている。
私学へ行けば年間160万。他県へ行けば家賃や生活費などもそれにプラスされて大学4年間で1,000万は必要だろう。
老後2,000万、老後、、2,000、、ニ、ニセンm、、、ぱたり


3月末で退職する彼女は次は生保で正社員になるそうで、課長は「生保も大変だよ、」って言ってたけど
正社員で雇用されるというその「肩書」の差が恐ろしく大きいんです。女性にとって。そしておひとりさまにとって。

今の会社で正社員登用という道がなかったのかと言われると、正直ありました、ありましたけど
東証一部上場企業での非正規からの正社員登用は、何をどうあがいても低収入からはなかなか抜け出せないんです。

やはり企業は新卒でとった社員をそれはそれは大事に大事に育てるんですね。
それを同じ職場で一緒に働いていると肌でひしひしと感じるんです。

わかるんです、わかるんですよ。
長い時間をかけて、大金をかけて採用して、その新卒の若手社員を大事に大事に辞めないように辞めないように優しく優しく育てる。
入社3年目までの社員のかわいがられ方、守られ方は、それはもう目に余るほどなんです。
なんたって全社で入社3年以内の離職率の高い支店は点数が引かれるんですよ。評価に響くんですよ。
そりゃ管理職も必死になりますよね。

非正規のおばちゃんなわたしたちはなんたって生活が懸かってるからやめない。
やめないから少々の無理難題を言っても耐えてくれるし、聞いてくれるし、乗り切ってくれるし
でも若手はひょっとしたらこんなに無理させたら辞めちゃうかもしれない、それはいけない、ダメダメ!
じゃぁ、ごめん、シロさん、悪いけど、これ頼まれてくれる?

こんな不遇な環境で働いているアラフォー、アラフィフの非正規労働者、日本にどれだけいるんだろう。

とにかく私は彼女を応援しているんです。
東証一部上場の、コロナ禍でも変わらず出社を強いられ続け、逆に言うと、コロナ禍でも賃金が削られることもなく収入が得られたこの会社を去るのは迷いもきっとあったに違いないんです。
そして実はめちゃめちゃ楽しいんです、うちの職場。ちょっとクセ強めの人が多くて
めちゃめちゃ激務だけどそれでも人が楽しいから続けられる。
収入さえ見合っていればこんなに楽しい職場はない。激務だけど。

結局、気持ちよく納得して働けるかどうかは対価なんですよね。
納得いく額面で心は満たされる。

おひとり様を生き抜く「女子貯金」生活 [ 横山光昭 ]


わたしも何度も転職エージェントで転職を試みているけれど
年齢と高卒の壁で箸にも棒にも掛からず、面接にもこぎつけない。
今の会社でどれだけ活躍できていても職務履歴書を通して見える部分はほんのわずかで
高卒アラフィフ資格なしおばさんとしか映ってないんだろうな、なんて思っちゃう。

でも今のわたしにはこのブログという居場所ができた。
なんなら今の職場ならシフト次第ではブログに時間を取れる働き方ができる。


転職だけがすべてじゃない、世界って広いんだってアラフィフになってまた改めて気付く。

生きてる限り、まだまだ知らないことに出会えるもんだね。

おひとり様作家、いよいよ猫を飼う (幻冬舎文庫) [ 真梨幸子 ]